ブリード・ブリード・ブリード

用事があって名古屋へ行ってきた。名古屋に行くときは車をいつもばーちゃんの家(喫茶店)の駐車場に停めるのだけど、今日は何やら見慣れない車があった。昼間だったのでお客さんかなと思って店を覗いてみると、そこにはスーツ姿の大柄なおじいさんが。ちょうど帰るところらしく、かなりのお歳のように見えたけれど、杖を二本ついてゆっくりと歩いている。

ばーちゃんに聞くと、彼はばーちゃんの親戚でいつもお世話になっているらしい某会社の会長さんだった。いろいろ話は聞いたことあるのだけど会うのは初めて。おとんも昔その会社で働いていたこともあり「息子です」と軽く挨拶をすると会釈をしてくれ、「よー似てるのう」、と一言。おとんを覚えていたことも驚きだったけど、大柄な体格とその貫禄にたじろいでしまったのでした。でけえ。しかも94歳なのだそうだ。すげえ。

会長さんが運転手に連れられ帰った後ばーちゃんの昔話を聞いた。じいちゃん(父の父)はかなりのスポーツマンだけど体が弱かったとか、ひいじいちゃん(父の母の父)は芸者と恋に落ちて蒸発したとか、それの影響で村八分にされたとか、ばーちゃんの故郷・藤岡の山のほうで山賊がでていた話とか、僕にとっては想像しかできないけどきっと本当にあったことばかりなのだろう。何回も聞いた話もあったけれど、何回聞いても面白い。

今のうちの家系が波乱万丈なのは何も今に始まったことじゃあない。きっとそんな昔からのことなのだ。昼ドラ風に言えば、血の宿命。これしょーがない。僕とばーちゃんは60歳離れているから単純計算したらばーちゃんのばーちゃん(父の母の母の母)は江戸時代生まれだ。血のロマンを感じる今日この頃です。家に帰ると相変わらず汚いリビングとキッチン。そして相変わらず汚い僕の部屋。「よー似てるのう」。会長の言葉が頭をよぎった。