CDショップの「D」

神々しく並ぶコンパクトディスクの「ジャケット」というアートに彩られたアヴァンギャルドな店内を闊歩する。各棚の角には人々を誘惑するかのような艶やかな色気を放つ試聴機が並び、活きの良い新譜たちがその中で聴いていけと叫んでいる。当然のように僕はその誘惑に負け、そっとヘッドフォンを耳に掛ける。そしてそっと目を閉じる。そこには僕と音楽だけ。その瞬間、人、景色、考え事、悩み事、世界、全て消え去るのだ。その瞬間を一言で表すのなら、「平和」だろう。心も、体も、力が抜けるような幸せな時間。そんな時間をくれるCDショップが好きだ。大好きだ。

好きだからこそ見えてくるCDショップの善し悪しがある。売れ筋だけ並べたの店、なぜか一番目立つところにレゲエコーナーを持ってきている店、コンセプトがいまいちはっきりしない店、コメントが上辺だけの店・・・などなど、これらの店は買う気が起きない。結局、「音楽への愛」が大切だと思うのだ。「買ってほしい」と思う以上に「聴いてほしい」という気持ち。その点、タワーレコードはもう言うことなし。商業を超えた、音楽への愛情がヒシヒシと伝わってきます。

今日もCDショップで5000円も買い物をし、財布を見ながら心にCDショップの「D」と刻み込むのだった。

♪BGM D Is For Dangerous/Arctic Monkeys