株はじめましたが何か問題でも

株、はじめました。といっても僕ではなく親父がはじめたのだが。

「パソコン使っていい?」。朝一番、低い声とともに50半ばのおじさんの声で僕は目覚める。カタカタカタというキーボードを叩く音と枕もとの人の気配が、楽しい夢の世界にいた僕を現実へ引き戻す。・・早い話が、株に夢中の親父が証券市場が始まる9時くらいに僕の部屋のパソコンで株価をチェックするのだ。キレイなお姉さんが優しく起こしてくれるのならともかく、この歳になって親父に起こされることほど嫌なものはない。

しかしそう邪険に接するわけにもいかないのだ。親父が退職し、祖母が仕事(喫茶店)をやめ、僕と弟が卒業をする予定だったり、家族の転換期のこの時期にモメゴトを起こしたくない。まあ僕や弟のことはどうでもいいのだが、これから老後を一緒に過ごす父と母には仲良くしてほしい。そして祖母とも。

だから僕は「中立」になることにした。永世中立国スイスです。ようはただの八方美人なだけだが、長男として、一子供として、家族の一員としてやっぱり家族円満にいきたい。僕のためにも、家族のためにも。株に関しては、興味がない母と弟は置いといて、親父に付き合おうと思う。僕のためにも、家族のためにも。