コハルビヨリ

ryoma200x2007-04-10

春の暖かな陽射しがさしこむ正午。ヒキコモリ気味の僕は少し勇気を出して愛犬と散歩に出た。普段出不精でもこうも暖かいと、強迫観念からなのか、はたまた本能なのか、ふと外へ出ようという気になってくるから不思議だ。

言わずもがなもう春である。穏やかな空気だけでも春を感じるが、散歩しているとそこら中に小さい春、春、春。道端のガードレールに隠れるようにタンポポが咲き、モンキチョウがその周りをフワフワと飛び回る。そしてここぞとばかりに光を浴びて、無数の花びらを輝かせる桜。言葉では言い表せない美しさがそこにある。

その遠く向こう、ガタンゴトン、と音を立て2両編成の電車は何食わぬ顔をして通り過ぎる。僕と愛犬はそれを見ながら、ニヤリ、とほくそ笑むんだ。誰がなんと言おうと、春、だ。