サラリーマンAの憂鬱 (2)久屋大通スカイウォーク



どーでもいいけど都会の夏は暑い。熱すぎる。

都会の夏は蝉も鳴かないらしい。いや、鳴いてるんだろうけど聞こえない。聞こえるのは無機質な都会の喧騒だけ。

僕は会社帰りの人々の波に逆らうように家へ向かって歩いた。心はもやもやしたまま、上の空でひたすら歩いた。お腹が空いていようが、足が痛かろうが、とにかく僕は歩かなければならない。もう、それ以外はないのだ。

歩きながら、いろんな思いや考えが浮かんでは消えた。消えては浮かんだ。

「・・・・こんなことしたい、あんなことしたい、こうしてあげよう、ああしてあげよう、こうしたほうがいいんじゃないか、ああしたほうがいいんじゃないか、これはやめよう、あれはやめよう、これはダメだ、あれはダメだ、はじめまして、さよなら、ひさしぶり、またね、もういいよ、よしやろうぜ、がんばれよ、ちゃんとしないと、そこをしっかりしないと、よしやろうぜ・・・・・」

そんなまとまるはずも無いことを考えているうちに空はだんだんと暗くなり始め、人もまばらになってきた。ようやく久屋大通に差し掛かり、さすがに疲れてきた。でも歩くのは嫌いじゃないな。余分な思いや考えがどこか遠くの空へ飛んでいくような気がする。


どーでもいいけど都会の夏は夜も暑い。熱すぎる。