梅雨がやってくる前の、嵐の前のような、静寂に包まれた夜。
聞こえるのはパソコンの動く音と僕の耳鳴りだけ。遠くから聞こえてくる、何か、もない。
今日買ってきたビル・エヴァンズのレコードを卓上に乗せ、そっと針を落とす。
軽快なリズムに乗って、エヴァンズが奏でる繊細な音色が薄暗い部屋を縦横無尽に駆け回る。
僕はイスに腰掛けて、じっくり音楽に聴き入りながら、グラスに控えめに注いだ三ツ矢サイダーを飲む。
ビートルズやビーチボーイズ、ラモーンズなどの偉大な音楽家や、
坂本龍馬、チェ・ゲバラという革命家と一緒に飲み交わすサイダーは、
僕なんか小さき者と、という論争はさておき、
旨い。格別に旨い。こんな夜は音楽を聞こう。あなた、と。